1台のスマホに2つの電話番号が使える【デュアルSIM完全ガイド】

1台のスマホに2つの電話番号が使える【デュアルSIM完全ガイド】
(YouTube, AdSense, Play 公認エキスパート)
2025年05月19日 in Pixel
記事内にPR・広告が含まれる場合があります

1台のスマホに2つの SIM を入れて、2つの電話番号や通信プランを使い分けられる「デュアル SIM」ってご存知ですか?

スマホでこの機能を活用すれば、仕事とプライベートの使い分けや通信費の最適化がぐっと身近になります。「設定方法や切り替え方は?」「メリットはあるの?」「Pixel での使い方は?」そんな疑問に答えるため、本記事ではデュアル SIM の基本から具体的な活用法、注意点までを網羅的に解説します。

デュアル SIM とは?基本の仕組みと SIM の種類

デュアル SIM とは、1台のスマホで2つの SIM(Subscriber Identity Module)を利用できる機能のことです。通常は、1台のスマホに1つの通信業者と契約して電話や通信を行っていますが、実は2つの通信業者と契約することが可能です。これは「デュアル SIM」と呼ばれています。

これにより、1台の端末で2つの電話番号を持ったり、異なる携帯通信会社のデータプランを契約したりすることが可能になります。例えば、1台のスマホで仕事用とプライベート用で異なる電話番号を使うことができるので、スマホを2台持つ必要がありません。

SIM の種類は何がある?物理 SIM と eSIM

デュアル SIM は「2つの SIM」という意味ですが、SIM というのは電話番号などが記録されている IC カードです。多くの方が、このような SIM カードと呼ばれる物をスマホに入れていると思います。

SIM には、主に2つの形態があります。

  • 物理 SIM
    従来から使われているカード型の SIM です。端末の SIM スロットに挿入して使用します。現在は nanoSIM が主流です。
  • eSIM
    スマホ本体に予め埋め込まれたデジタルな SIM です。物理的なカードの抜き差しは不要で、オンラインで契約情報を書き込むことで開通できます。eSIM への変更方法は【[Android]物理SIMからeSIMに変更する方法(楽天モバイル)】でもご紹介しています。

デュアル SIM 対応スマホでは「物理 SIM 2枚」「物理 SIM 1枚と eSIM 1つ」「eSIM と eSIM」といった形で組み合わせて利用します。特に eSIM によって、デュアル SIM がより簡単になりました。
デュアルSIMの利用パターン

※ eSIM を2つ入れる「デュアル eSIM」はスマホ側が対応しているだけでなく、通信事業者側も対応している必要があります。多くが対応していると思いますが、プラン等によっても異なる可能性がありますので事前に確認しましょう。
筆者体験談:そもそも eSIM に対応していない機種があります。この数年で発売された端末であれば対応しているものが多いですが 100% ではありません。eSIM に対応していると思っていたら、実は非対応で設定できなかった経験があります。事前に端末が対応しているか確認をしましょう。

デュアル SIM の主な動作方式

少し難しい話かもしれませんが、デュアル SIM 対応スマホは、2つの SIM をどのように扱うかによって複数の方式に分類されます。

  • ❌ DSSS (Dual SIM Single Standby)
    どちらか一方の SIM しか有効にできず、手動で切り替える必要があります。現在はあまり見られません。
  • ⚠️ DSDS (Dual SIM Dual Standby)
    2枚の SIM で同時に待ち受け可能ですが、片方で通話中はもう片方でデータ通信や着信ができません。また、片方が 4G/5G の場合、もう一方は 3G 接続に制限されることがあります。
  • 👍 DSDV (Dual SIM Dual VoLTE)
    DSDS と同様に同時待ち受けが可能で、さらに両方の SIM スロットで 4G / 5G 通信(VoLTE 含む)を利用できます。ただし、通話中のもう片方の SIM でのデータ通信は基本的にできません。現在の主流方式です。
  • 👍 DSDA (Dual SIM Dual Active)
    2枚の SIM が完全に同時にアクティブになり、片方で通話しながらもう片方でデータ通信が可能です。対応機種はまだ少ないのが現状です。
機能DSSS
(Single Standby)
DSDS
(Dual Standby)
DSDV
(Dual VoLTE)
DSDA
(Dual Active)
同時待ち受け
(両番号で着信可能?)

(片方のみ有効)
VoLTE 対応
(両 SIM で可能?)

(有効な SIM のみ)

(片方のみの場合あり)
4G/5G データ
(両 SIM で可能?)

(有効な SIM のみ)

(片方 3G の場合あり)
他 SIM 通話中に
データ通信可能?
主な特徴や用途手動切替、旧式同時待受、
片方 3G 制限あり
同時待受、
両 SIM 4G 可
同時通話・通信可

Google Pixel シリーズを含む多くの最新スマホでは、DSDV 方式が採用されており、eSIM と物理 SIM の組み合わせでデュアル SIM 機能を利用できるモデルが一般的です。

デュアル SIM の使い方:設定は簡単!

今回は Google Pixel 9 Pro を使用し、eSIM + 物理 SIM でデュアル SIM にする手順と設定をご紹介いたします。

Google Pixel でのデュアル SIM 利用について

Google Pixel シリーズの多くはデュアル SIM に対応しています。Google Pixel 7、Google Pixel 7 Pro 以降の端末であれば2 つの eSIM プロファイルを同時に使用できます(デュアル eSIM 対応)。

Pixel では設定メニューから SIM を追加し、eSIM の場合は QR コードをスキャンするか、手動で情報を入力してアクティベートします。その後、各 SIM の用途(通話、SMS、データ)を個別に設定したり、データ通信に使用する SIM を状況に応じて切り替えたりすることが可能です。

優先する SIM を切り替える!「プライマリ SIM」の設定

  1. こちらは eSIM が設定されたスマホに物理 SIM を追加して入れた状態です。端末の[設定]>[ネットワークとインターネット]>[SIM]から、2つの SIM が設定されていることを確認できます。
    2つの SIM
  2. [プライマリ SIM]から[通話]を選択すると、電話をかける際に優先して使用する SIM(電話番号)を選択できます。※着信はどちらの SIM でも受けられます。発信時に選択することも可能。
    通話
  3. 次は[テキストメッセージ]です。SMS 送信時に優先して使用する SIM を選択できます。※受信はどちらの SIM でも受けられます。
    テキストメッセージ
  4. テキストメッセージ送信時に選択することが可能です。
    テキストメッセージ送信時に使用する SIM
  5. 次は[モバイルデータ]です。モバイルデータを使用してインターネットに接続する際の SIM を選択します。
    モバイルデータ

デュアル SIM のメリット

デュアル SIM を活用することで、さまざまなメリットが得られます。

仕事とプライベートを1台のスマホで管理

1台のスマホで2つの電話番号を持てるため、仕事用とプライベート用の電話番号を1台でスマートに管理できます。

両方の番号で同時に着信を待機できるため(DSDS/DSDV/DSDA の場合)、大切な連絡を逃しません。発信時も番号を選択できるため、プライバシー保護にも繋がります。

デュアル SIM の最適な組み合わせは?

異なる通信事業者のプランを組み合わせることで、通信費を効果的に削減できる可能性があります。

  • 通話が多い場合
    楽天モバイル(Rakuten Link で通話無料) + 日本通信SIM/povo 2.0(データ通信用の格安 SIM)
  • データ通信が多い場合
    データ大容量の格安 SIM + 通話用の低料金プラン SIM

例えば、「楽天モバイル(無料通話)× povo 2.0(基本料0円、必要に応じてデータトッピング)」や「楽天モバイル × UQ モバイル(安定した通信品質)」といった組み合わせが人気です。
【楽天モバイル】はこちら

筆者が使用する SIM:私は楽天モバイル(eSIM)をメインに電話番号&通話を使用し、さらに2つ目として楽天モバイル(株主優待:物理 SIM)を使用しています。株主優待の SIM は月々 30GB まで無料で利用ができるため、主にデータ通信用として利用します。メイン SIM の最低限の料金を支払うだけで、月々30GBまで利用できるのがメリットです。

通信障害時も安心!予備回線として活用

異なるキャリアの SIM を利用することで、通信の信頼性を高められます。一方のキャリアで通信障害が発生したり、電波が弱いエリアに入ったりした場合でも、もう一方の回線に切り替えて通信手段を確保できます。これは災害時など、いざという時の備えとしても有効です。

デュアル SIM のデメリットと注意点:導入前に確認しよう

多くのメリットがある一方で、デュアル SIM にはいくつかの注意点も存在します。

バッテリー消費は増える?

スマホが常に2つのネットワークからの電波を探すため、シングル SIM の場合よりもバッテリー消費が増える可能性があります。特に DSDA 方式では消費電力が大きくなる傾向があります。ただし、影響の度合いは機種や利用状況によって異なり、大きな差はないという報告もあります。

対応機種・キャリアの確認が必須

デュアル SIM は全ての端末で利用できるわけではありません。

  • 対応機種
    まず、お使いのスマホがデュアル SIM に対応している必要があります。Google Pixel シリーズの多くは対応していますが、古いモデルや一部機種は非対応の場合があります。
  • SIM ロック
    キャリアで購入した端末には SIM ロックがかかっている場合があります。異なるキャリアの SIM を組み合わせるには SIM ロック解除が必要です。
  • 対応周波数帯
    SIM フリー端末でも、利用したいキャリアの周波数帯(バンド)に対応していないと快適に通信できません。
  • eSIM の対応状況
    eSIM を利用したい場合、端末とキャリア双方が eSIM に対応している必要があります。

初期設定や管理に手間がかかる?

SIM の有効化、役割設定、APN 設定(必要な場合)など、シングル SIM に比べて設定項目が増えます。慣れてしまえば難しくありませんが、最初のうちは少し手間を感じるかもしれません。

デュアル SIM はどんな人におすすめ?

以下の項目に当てはまる方は、デュアル SIM の導入を検討する価値があるでしょう。

  • 仕事用とプライベート用など、2つの電話番号を1台のスマホで持ちたい。
  • 月々の通信費を少しでも節約したい。
  • 通信障害や電波の悪い場所でも、予備の回線がある安心感が欲しい。
  • Google Pixel などの対応スマホを持っており、その機能を最大限活用したい。

一方で、スマホの利用がシンプルで現状に不満がない場合は、あえて複雑さを増やす必要はないかもしれません。

デュアル SIM は、1台のスマホで複数の電話番号や料金プランを使い分けられる便利な機能です。仕事とプライベートの分離、通信費の最適化、通信の安定性向上など、多くのメリットが期待できます。

Google Pixel シリーズをはじめとする対応スマホであれば、この機能を活用できますので、自分がデュアル SIM 運用に適している方はぜひトライしてみてください!

執筆者情報
2004年から当サイト「iscle」を始めた管理者。Google 公認のプロダクトエキスパートとして、YouTube、Google AdSense、Play の公式コミュニティで活動中。スマホアプリ、Web ツールの使い方や最新情報を中心に発信しています。