顔出しなしでYouTubeチャンネルを収益化する&収益化停止の回避方法

顔出しなしでYouTubeチャンネルを収益化する&収益化停止の回避方法
(YouTube, AdSense, Play 公認エキスパート)
2025年08月09日 in YouTube

「顔出しや声出しはしたくないけど、YouTube で収益化したい」 「簡単に動画を作って稼ぎたい」そう思っている方、多いのではないでしょうか。確かに、顔や声を出さないスタイルの動画は、今とても人気がありますよね。最近は AI の力を借りれば、以前よりも簡単にクオリティの高い動画を効率的に作成することもできるようになりました。

しかし、その手軽さの裏には、YouTube から「価値の低いコンテンツ」と見なされ、収益化が認められない、もしくは、せっかく収益化できても突然停止されてしまうという大きなリスクが潜んでいます。

今回は、まず「なぜ顔出しなし動画が危険なのか」その理由を解説し、その上で、安全に収益化を達成するための具体的な動画スタイル、そして万が一、収益化が停止された場合の対処方法についてご紹介していきます。

「これから収益化を目指したい」「収益化停止のリスクを減らしたい」「収益化が停止されたので復活させたい」

という方は、ぜひ最後までご覧ください。

なぜ「顔出し・声出しなし」動画は危険なのか?

では、さっそく本題です。なぜ「顔出し・声出しなし」の動画は収益化において危険なのでしょうか。

「手軽に作れる動画」がポリシー違反と見なされる

顔や声を出さない動画と聞くと、「ゆっくり解説」などを思い浮かべる方が多いかもしれません。最近では、テキストを入力するだけで、台本からナレーション、映像まで、すべてを自動で作ってくれる AI ツールもたくさん登場しました。これにより、動画制作のハードルは劇的に下がり、誰でも簡単に動画を量産できる時代になっています。

しかし、手軽に作れてしまう動画こそが、YouTube の収益化ポリシーにおける「再利用されたコンテンツ」や「量産型のコンテンツ(繰り返しの多いコンテンツ)」だと判断されてしまう危険性が極めて高いのが問題です。

ポリシーアップデートによる審査の厳格化

YouTube の審査は、チャンネル全体、もしくは動画一本一本が本当にクリエイター自身の独自のものであり、視聴者に新しい価値を提供しているかが重要なポイントとなってきます。

そして、この審査が 2025年7月15日の YouTube 収益化ポリシーのアップデートにより、さらに厳格化されたと言われています。特に、AI だけで完結させたような、誰が作っても同じに見えるテンプレート的な動画や、簡単に大量生産できるような動画は以前よりも格段に収益化の承認が難しくなっているのです。

実際、私の元にも「今まで問題なかったのに、急に収益化が剥奪された」「何度申請しても、収益化が承認されない」 といったご相談が本当に増えています。

YouTube が本当に求めているもの

考えてみてください。台本も映像もすべて AI が自動生成し、そこに人間が何の工夫も加えていない動画があったとします。YouTube からすれば、それは「クリエイターの独自性がない、機械的に量産されたコンテンツ」と判断されても仕方ありません。

YouTube というプラットフォームの視点に立つと、理由は明確です。もし、どこを見ても同じような動画ばかりになったら、視聴者は飽きて離れてしまいます。プラットフォーム全体の魅力が下がり、広告主も価値を感じなくなってしまう。だからこそ、YouTube は独自性と付加価値のあるコンテンツを強く求めているわけです。

YouTube が本当に求めているのは、クリエイター自身の個性独自の視点です。

単に情報を並べるだけでなく、独自の切り口で解説を加えたり、オリジナルの映像を差し込んだりする。そうした「あなたにしかできない工夫」が、これまで以上に重要になっています。

では、どうすれば収益化停止のリスクを乗り越えられるのでしょうか?

【危険度別】動画スタイルと収益化リスク

ここでは、動画のスタイル別に、収益化停止のリスクがどれくらいあるのかを具体的に見ていきましょう。

危険度動画スタイル概要・具体例注意点・ポイント
⚠️
声なし・顔なし
映像フリー素材
顔も声も出さず、映像はフリー素材のみを使用。
ゆっくり解説、雑学系チャンネルなどで多く見られる。
機械的に量産されたコンテンツと判断されやすい。
教育的な価値や独自のストーリー性を加えるなど、
付加価値の提供が不可欠です。
⚠️
声なし・顔なし
オリジナル映像(風景など)
顔と声は出さず、自身で撮影した風景やスクリーン録画などを使用。「量産型のコンテンツ」と見なされるリスクあり。
自身で撮影した証拠を準備しておくことが重要。
中~低声あり・顔なし
映像フリー素材
自身の声で解説し、映像はフリー素材を使用。
ニュース解説や朗読チャンネルなどで見られます。
自身の声がオリジナリティになりますが、
映像が単調だとリスクがあり。
声なし・顔なし
オリジナル映像(手元など)
顔は出さず、手元や体の一部など、自身の姿を映す。
料理やDIY、イラスト制作動画などで多く見られます。
人間味や信頼性が増し、独自性の証明になる。
かなり低い声あり・顔なし
オリジナル映像
自身の声で解説し、映像も自身で撮影するスタイル。
手元や体の一部を積極的に映すとさらに安全です。
「声」と「オリジナル映像」の2つの独自要素が掛け合わさることで、
価値の高いコンテンツと判断されやすい。
✅️
最も安全
声あり・顔あり顔も声も出すスタイル。運営者自身のキャラクターが最大の武器となり、
唯一無二のチャンネルを築くことができます。

【危険度:高】声なし・顔なし・映像フリー素材

👉 顔も声も出さず、映像はフリー素材のみ。

これが最も収益化停止リスクの高いスタイルです。ゆっくり解説、ずんだもん、雑学系チャンネルなどで採用されることが多いスタイルですね。完全に外注に投げてチャンネル運営できるのも魅力だと言われています。

映像も音声もオリジナルではないため、機械的に量産されたコンテンツだと判断されやすいですね。AI を使って動画を量産しているチャンネルも増えてきたのも問題視されているでしょう。

もちろん、ゆっくり系のような人口音声を使ったり、AI だけで作成した動画自体が悪いわけではありません。そこに教育的な価値や独自の面白いストーリーを加え、視聴者にとって有益な動画に仕上げれば、収益化は可能です。実際に、AI だけで作られていても面白く役立つチャンネルはたくさんあります。

しかし、何の工夫もなく、ただツールを使って量産しただけの動画は、YouTube から「独自の付加価値が全くない」と判断される可能性が最も高いスタイルです。内容が良くても収益化が停止される可能性が極めて高いスタイルなので、後ほどご紹介する「収益化停止に備える」ことが中です。

【危険度:中】声なし・顔なし・オリジナル映像(風景など)

👉 顔と声は出さないが、映像は自分で撮影したもの(風景やスクリーン録画など)。

ご自身で撮影した映像を使うことで、一定の独自性は示せます。しかし、風景やスクリーン録画画面を入れるだけでは人間的な要素が薄いため、収益化停止リスクは残ります。また、もし停止されたとき、本当に自分で撮影したものかの証拠を出せるようにしておくことが大切です。

【危険度:中~低】声あり・顔なし・映像フリー素材

👉 顔は出さないが、自分の声で解説し、映像はフリー素材。

ニュース解説、朗読チャンネルなどで見られるスタイルです。 あなた自身の声で解説を入れることで、コンテンツに明確な個性が生まれます。台本をしっかり作り込み、熱意を込めて語ることで、視聴者にも価値が伝わりやすくなります。

ただし、自分の声を入れていても収益化が停止されている事例はたくさんあります。特に、関連する映像を流さず静止画だけにしてある朗読系チャンネルでの停止事例が多いです。映像を工夫したり、朗読している様子を入れることが望ましいです。

【危険度:低】声なし・顔なし・オリジナル映像(手元など)

👉 顔は出さないが、手元や体の一部など、自分の姿は映す(声はなし)。

料理やプラモデル作成などで多いスタイルですね。実際に作業している人の手や体が映ることで、人間味や信頼性が増しリスクは下がります。視聴者は、その手つきや技術に価値を見出すことができます。

【危険度:かなり低い】声あり・顔なし・オリジナル映像

👉 顔は出さないが、自分の声で解説し、映像も自分で撮影する。このとき、顔を映さなくても手元や体の一部を積極的に映すことで、さらに独自性が高まり、より安全なスタイルになります。

例えば商品レビューで実際に商品を使っている手元を映す、旅行先の映像にナレーションを入れるなどですね。これが、顔出しなしで最も安全かつ強力なスタイルです。「声」と「オリジナル映像」という2つの独自要素が掛け合わさることで、YouTube から「価値の高いコンテンツ」と判断されやすくなります。

【番外編:最も安全】声あり・顔あり

👉 顔も声も出す動画。
言わずもがな、これが収益化において最も安全な方法です。あなた自身のキャラクターが最大の武器となり、ファンも付きやすく、唯一無二のチャンネルを築くことができます。

リスクを回避し、安全に収益化するための具体策

それでは、どうすれば YouTube に「価値あるオリジナルコンテンツ」だと認めてもらえるのでしょうか。 答えはシンプルです。先ほどの危険度レベルを下げていく、つまり「あなただけの要素」を加えることです。

解決策①:あなたの「声」を入れる

AI 生成音声や人工音声を使うこと自体は問題ありません。しかし、可能であれば、ぜひご自身の声を入れてみてください。

「でも、自分の声に自信がない…」そう思う方もいるかもしれませんね。私も頻繁に噛むので何度も撮り直すことがありますし、滑舌も良くないので、人工音声にしてしまいたいと思うことはあります。

ですが視聴者が求めているのは、アナウンサーのような完璧な声ではありません。むしろ、多少噛んだり、言い間違えたりしても、一生懸命伝えようとする姿勢や、あなた自身の「人柄」が伝わる声です。完璧さよりも、親しみやすさがファンを作る鍵になります。

あなたの声には、AI には再現できない個性や感情が宿ります。声を入れるだけでも視聴者との距離がぐっと縮まり、ファンになってくれる可能性も高まります。あなたの話し方、声のトーン、感情の込め方そのものが、誰にも真似できない強力なオリジナリティになるのです。それが視聴者との信頼関係を築き、チャンネルを成長させる大きな力になります。

解決策②:あなたが撮影した「映像」や「写真」を使う

フリー素材に頼るのではなく、自分で撮影した映像や写真を使ってみましょう。それが、あなたのチャンネルの「独自性の証明」になります。

万が一に備え、本当にご自身で撮影していることを証明するために、自分が撮影している様子を別のカメラで俯瞰的に撮っておく、というのも有効な手段です。たとえプロが撮ったような綺麗な映像でなくても、あなたがそのテーマのために撮影したという事実そのものに価値があります。

解説している商品の箱、近所の公園の風景、あなたの手元の作業風景。それらはすべて、世界に一つだけのオリジナル素材です。すべての映像を自分で撮影する必要はありません。部分的にでもオリジナルの映像を使うようにすることが望ましいです。

収益化停止に備える「証明」の準備

「再利用されたコンテンツ」や「量産型のコンテンツ」と判断され収益化が停止された場合、多くの場合は動画で再審査請求を送信することになります。残念ながら、どんなに気をつけていても、誤って収益化が停止されてしまうリスクはゼロではありません

だからこそ、どのようなチャンネルであっても、万が一の時に備えて「このチャンネルは、独自の工夫と労力をかけて作られた価値あるものです」と、YouTube に対して具体的に主張できる準備をしておくことが極めて重要です。

万が一に備えて、効果的な再審査請求動画を作るには、次の3つのポイントが重要です。

  • 運営者本人が顔と声で訴える
    これが最も重要です。一度審査に落ちると3ヶ月間は再申請できません。熱意と独自性を伝えるために、ご自身の言葉で説明するのが最も確実な方法です。機械音声を使ったチャンネルであっても、必ずご自身の声で説明してください。
  • 感情論ではなく「証拠」を提示する
    「頑張っているから」といった感情論ではなく、具体的な証拠に基づいて反論しましょう。YouTube ヘルプに記載の「量産型のコンテンツ」「再利用されたコンテンツ」の定義をよく読み、自分の動画がそれに当てはまらないことを論理的に説明します。
    編集ソフトの編集画面、台本制作の流れ、撮影している様子を見せたりするのも有効です。
  • 冷静に、迅速に行動する
    収益停止の連絡が来ると焦るかもしれませんが、AI による誤った判断の可能性も十分にあります。いちばんダメなのは、焦って適当なものを提出してしまうことです。意気消沈して放置するのはダメですが、しっかりと証拠を揃えた再審査請求動画を速やかに提出しましょう。

特に「自分はこれだけの工夫をしています」と具体的に説明できる材料を用意しておくことが、万が一、収益化が停止された時のお守りになります。どのようなスタイルのチャンネルであっても、万が一の時のために用意することをおすすめします。

YouTube で長期的に安定して収益化するには?

顔出し・声出しなしでの安定した収益化は簡単ではありません。特に、長期的に安定したチャンネル運営という点ではリスクがある点を理解しておく必要があります。しかし、今回ご紹介した「オリジナリティ」という点を意識するだけで、リスクを大幅に減らすことは可能です。

ぜひ今回の内容を参考に、あなたにしか作れない、価値ある動画作りを続けていってください。

執筆者情報
2004年から当サイト「iscle」を始めた管理者。Google 公認のプロダクトエキスパートとして、YouTube、Google AdSense、Play の公式コミュニティで活動中。スマホアプリ、Web ツールの使い方や最新情報を中心に発信しています。