実はChatGPTの会話内容が公開されていた…AIチャットの共有リスクと対策方法

実はChatGPTの会話内容が公開されていた…AIチャットの共有リスクと対策方法
(YouTube, AdSense, Play 公認エキスパート)
2025年08月07日 in Web・IT

ChatGPT で共有した会話内容が Google の検索結果に表示され、誰でも見れる状態だったことが先日明らかとなり、騒がれているのをご存知でしょうか?

今回は、ChatGPT や Google Gemini をはじめとする AI チャットを使用する場合に、会話内容が第三者に漏洩してしまうリスクや、その対策方法をご紹介していきます。

AIチャット共有に潜む、見落としがちなリスク

AI チャットはとても便利ですが、様々な問題やリスクが潜んでいます。そのリスクの一つとして今回話題となっている、ChatGPT で共有されたチャット内容が Google などの検索エンジンにインデックスされてしまい、誰でも検索して見られる状態になるという事態です。X でもその状態が話題となっていました。

ChatGPT を運営する OpenAI の CISO(最高情報セキュリティ責任者)は「役立つ会話を発見できるようにするための短期間の実験でした」「ユーザーが意図せずに情報を共有してしまう可能性を多く生み出すと考え、選択肢を削除することにした」と説明がありました。

ChatGPT や Google Gemini でも「共有ボタンを押すだけで簡単にシェアできる」という便利さがありますが、その裏には私たちが気づきにくい潜在的なリスクが潜んでいます。

1. 「noindex」タグが付与されても、完全に安心はできない

現時点では、ChatGPT の共有ページに「noindex」という特別なタグが付与されています。これは「このページを検索エンジンの結果に表示しないでください」という、ウェブサイトの所有者が検索エンジンに送る指示のことです。これにより、Google や Yahoo!、Bing といった主要な検索エンジンでは検索結果に表示されなくなりました。

※ ChatGPT だけでなく Gemini も noindex タグが付与されているため、Google の検索結果には表示されません。

しかし、この仕組みは「検索エンジンが noindex タグを尊重すれば」という前提のもとに成り立っています。ただ、この前提は常に成立するわけではありません。

古い検索エンジンや小規模な検索エンジンの存在

世の中には noindex タグに対応していない、あるいは無視する検索エンジンも存在します。特にニッチな分野の検索エンジンや、昔から運用されているものは、このタグの意図を汲み取れない場合があります。これらがチャット内容をインデックスし、公開してしまう可能性は否定できません。

ウェブキャッシングサービスによるデータ保存の継続

「Wayback Machine」や「魚拓」のような、ウェブサイトのデータを保存するサービスは、noindex タグが付与される前にチャット内容を記録している可能性があります。一度キャッシュされてしまったデータは、後から完全に削除するのが非常に困難です。過去に公開された情報は、検索エンジンのキャッシュから消えても、こうしたサービスに残り続けてしまうリスクがあります。

2. 共有した相手による意図しない再共有と情報の連鎖

これは最も現実的で、かつ予測が難しいリスクの一つです。あなたは信頼できる相手にチャット内容を共有したつもりでも、以下のような意図しない再共有が情報の拡散を引き起こす可能性があります。

例えば、共有リンクを、友人のみが参加するプライベートなグループに送ろうとしたつもりが、操作ミスで全体公開のタイムラインに投稿してしまった。特にモバイルでの操作は誤りが起きやすいため、注意が必要です。

他の例としては、会社の新しい企画について AI にアイデア出しをしてもらい、その内容を同僚に共有したとします。その同僚が別のメンバーにリンクを転送したところ、そのリンクが、全社員が見られる社内 SNS に誤って投稿されてしまいました。まだ発表前の機密情報であるにもかかわらず、一瞬にして全社に広まってしまいます。このように、たった一度の操作ミスや不注意が、情報漏洩という深刻な事態に繋がるケースは決して稀ではありません。

チャット内容を安全に共有するための2つの推奨策

それでも、「どうしても AI のチャット内容を共有したい」という場合は、これからご紹介する2つの方法で、ワンクッション置いて共有することを強くおすすめします。この一手間が、大切な情報を守るための決定的な違いを生み出します。

1. クラウドツールを最大限活用する

最も安全で、かつ情報管理がしやすい方法です。

  1. AIチャット内容をコピー: 共有したい内容のテキストをすべてコピーします。
  2. ドキュメントに貼り付け: Google ドキュメント、Notion、OneNote など、アクセス権限を細かく設定できるクラウドツールに貼り付けます。 Gemini であれば、直接 Google ドキュメントにエクスポートすることができます。
  3. アクセス権限を厳密に設定: 共有する際は、「リンクを知っている全員」のような公開設定は絶対に避け、共有したい相手のメールアドレスを指定して、特定のユーザーのみが閲覧・編集できる設定にしてください。 Google ドキュメントであれば[共有]から、相手のアカウントを指定して共有することが可能です。
    特定のユーザーのみに共有

この方法であれば、あなたの管理下で情報が共有されるため、意図しない拡散を効果的に防ぐことができます。

2. スクリーンショットやPDFを利用する

アクセス権限の設定が煩雑な場合や、静的な情報として共有したい場合は、この方法も有効です。

  1. チャット画面のスクリーンショットを撮る、またはPDFとして保存する。
  2. パスワード付きのファイルとして送付する。

この方法も、リンクが誤って公開されてしまうリスクを回避できます。特に、PDFファイルは編集されにくいため、情報の正確性を保ちたい場合にも適しています。

不要な共有はしない、共有リンクは削除する

大前提として、不必要な共有は避けるべきです。本当に共有する必要があるか、一度立ち止まって考えてみましょう。共有リンクを一度でも作成すると、URL 自体が外部に存在することになります。

もし、共有リンクを作成してしまったが、後から「やはり共有する必要がなくなった」という場合は、すぐにそのリンクを削除することが重要です。

ChatGPTの場合

  1. [設定]>[データ コントロール]>共有済のリンクの[管理する]を選択します。
  2. 削除するチャットのゴミ箱アイコンから共有リンクを削除します。

Google Geminiの場合

  1. Gemini の[設定とヘルプ]から[公開リンク]を選択します。
  2. 削除するチャットのゴミ箱アイコンから共有リンクを削除します。

これらの手順でリンクを無効化することで、第三者によるアクセスを防ぐことができます。

最も重要なことは「AIに個人情報を入力しない」

共有するかどうかに関わらず、AI チャットに個人的な内容や機密情報、個人情報などを入力することは避けるべきです。

AI は入力された情報を学習データとして利用する可能性があります。そのため、機密性の高い情報や、外部に漏れては困る情報は絶対に AI に入力しないでください。

絶対に AI に入力してはいけない情報の一例

  • 氏名、住所、電話番号、メールアドレスといった個人情報
  • 会社の企画書、顧客情報、社内パスワードなどの機密情報
  • クレジットカード番号や銀行口座情報といった金融情報
執筆者情報
2004年から当サイト「iscle」を始めた管理者。Google 公認のプロダクトエキスパートとして、YouTube、Google AdSense、Play の公式コミュニティで活動中。スマホアプリ、Web ツールの使い方や最新情報を中心に発信しています。