SDカードの寿命は?放置するとデータ消えます。大切なデータを失う前に見て

スマホやカメラで撮った写真どうしてますか?とりあえずSDカードに入れたまま、引き出しの奥に閉まってあるなんてことありますよね。このデータ、何年か経ったら消える可能性があるのをご存知でしょうか?
「えっ、どういうこと?」「触っていないのにデータが勝手に消えるなんてこと本当にあるの?」って思いますよね。昔撮ったあの思い出の写真や動画のデータは本当に大丈夫なんでしょうか。
残念ながら、データが消えるというのは事実なんです。SD カードの仕組みを考えると、データは何もしていなくても消えてしまう可能性があります。「でも一体どうして?」その理由を今から見ていきましょう。
目次
SDカードのデータはなぜ消えるのか?その仕組み
難しい科学の話をするつもりはありませんので安心してください。ご紹介するのは「電子のバケツ」という、とても分かりやすい例え話です。
まず基本中の基本から。SD カードが使ってるのは「不揮発性メモリー」という技術です。これ何がすごいかというと、電源を切ってもちゃんと情報を覚えていられる賢い記憶力を持ってるんですね。
その賢い記憶力の主役が「メモリーセル」と呼ばれるものです。データを保存するための、目に見えないほど小さな部屋みたいなものですね。SDカードの中にはこの部屋が何十億個もぎっしり詰まっています。
さあ、ここからが本題です。この小さな部屋を電子を閉じ込めておくための「バケツ」だと想像してみてください。専門用語では「フローティングゲート」と言うんですけど、今回は分かりやすく「電子のバケツ」と呼びますね。

コンピューターは「0」と「1」だけで物事を考えています。バケツに電子がいっぱい入ってれば「0」、空っぽなら「1」。たったこれだけのシンプルなルールで、あの綺麗な写真や感動した動画が記録されてるって思うとなんだかすごくないですか?
そして1番大事なのが、このバケツが電気を通さない、ものすごく薄い壁で覆われてることです。この完璧な壁が電子をがっちり閉じ込めてるからこそ電源を切ってもデータは消えないというわけなんです。
避けられない自然劣化
しかしどんなに完璧に見えたものも永久ではありません。ゆっくりと崩壊していきます。
例えば新品のタイヤでも、しっかり結んだ風船であっても、本当にちょっとずつですが空気が抜けていきますよね。あれと全く同じ理屈で、どんなに優れた壁でも何年も経つと電子がほんの少しずつ壁をすり抜けて漏れ出てしまいます。これが避けることができないデータの自然劣化です。

でもまあ、すぐにデータが壊れるわけではないので安心してください。カードの中にはすごく優秀なエラーチェック機能があって、最初のうちの小さな電子漏れぐらいなら賢く自動で直してくれます。だから私達は劣化に気づかないんですね。でもそのチェック機能にもやっぱり限界があるとしたら…
もっと身近で突然な脅威
「なるほど。じゃあ時々データをチェックすればいいんだな」って今思いましたよね。でも話はそんなに単純じゃないんです。実はこのゆっくり進む劣化よりももっと恐ろしくてもっと身近な脅威が存在します。

例えば、うっかりカードを曲げてしまったり、冬場にバチって静電気が走ったり、急いでるからってパソコンからいきなり引っこ抜いたり。
これやったことあるって方結構いるんじゃないでしょうか。何年もかけてデータが薄れるのを心配するより、たった一瞬の不注意の方がはるかに危険です。
劣化を加速させる2大要因
もちろん、だからと言って自然劣化を無視していいわけではありません。むしろ、これからお話しする内容は電子のバケツの劣化をとんでもないスピードで加速させてしまうからです。
データの書き換え
SD カードにデータを書き込んだり消したりするのって、例えるなら電子バケツにものすごい勢いで電子をドバっと注ぎ込んだり、無理やりガリガリ書き出したりするようなもんなんです。そんなこと繰り返してたら、当然バケツの壁はどんどん傷ついてもろくなりますよね。壁が傷つけば…電子はもっと簡単に漏れ出します。
こちらをご覧ください。

プロ用の高価な SLC タイプと呼ばれるものは、なんと9万回以上の書き換えに耐えられます。それに対して私たちが普段お店で買う TLC や QLC タイプはたったの1000回程度です。
で、ここが1番大事なポイントなんですけど、皆さんが今お持ちの SD カードの多くが、この1番デリケートな TLC か QLC タイプのはずです。なぜならその方が安くて大容量のカードを作れるからです。でも、その手軽さの裏には長期保存には向いてないという大事な特性が隠れています。
熱
そしてもう1つ見落としがちなのが熱です。

熱は電子にエネルギーを与えて活発にさせます。つまり夏の暑い車の中とか暖房の前にカードを置くなんていうのは、バケツの中の電子たちに「もっと暴れろ」「壁から飛び出せ」とエネルギーを与えてるようなものです。
データの漏洩を意図的に早めているのと同じです。
大切なデータを守るための「3-2-1ルール」
さてここまでちょっと怖い話が続きましたけど大丈夫です。ちゃんと解決策はあります。ここからは、皆さんの大切なデータを確実に守るための誰にでもできる具体的な方法をご紹介します。
まず覚えて欲しい数字が「3」です。オリジナルのデータとは別にバックアップを2つ、つまり合計で最低3つのコピーを持つ。なぜなら、もし1つがダメになってもまだ2つ残ってるという安心感が何より大事だからです。
次に「2」。その3つのコピーを少なくとも2種類の違うメディアに保存します。

例えば1つはパソコンのハードディスクに、もう1つはクラウドストレージにというように。これでSDカードというメディアそのものに何か問題が起きてもデータを守れます。
そして1番大事なのが最後の「1」。コピーのうち最低1つは家や職場とは物理的に離れた場所に保管します。これで万が一の火事や災害盗難にあっても思い出だけは安全です。これは、Google ドライブのようなクラウドに保存すれば解決ですね。
この3-2-1ルールシンプルですけどものすごく重要です。
SDカードは「金庫」ではなく「財布」である
この表を見てもらうともう一目瞭然ですよね。
| メディアの種類 | 推定寿命 | 最適な用途 |
|---|---|---|
| SDカード / USB | 5〜10年 | 撮影と持ち運び |
| ハードディスク(HDD) | 5〜15年 | アクティブバックアップ |
| M-DISC | 100年以上 | 永続的コールドストレージ |
| クラウドストレージ | サービス存続中 | オフサイトバックアップ |
メディアにはそれぞれ適材適所があるんです。SDカードはデータを気軽に持ち運ぶことには最高に便利です。でも永久に保存するという金庫の役割には残念ながら向いてないんですね。
SDカードはデータの銀行・金庫じゃなくて、あくまで財布のようなものだと思ってください。財布に全財産を入れて持ち歩くなんていないですよね。大切なデータを守るために、ぜひデータの保存方法を見直してみてください。


