チャンネル登録者・再生時間を購入した結果…チャンネル削除

チャンネル登録者・再生時間を購入した結果…チャンネル停止
(YouTube, AdSense, Play 公認エキスパート)
2025年05月02日 in YouTube

チャンネル登録者や再生時間って簡単に購入できるのをご存知でしょうか?今回は、実際にチャンネル登録者と再生時間を購入した方の事例、収益化済みチャンネルを購入した方の事例を元に、どのような結果を待ち受けているのかをご紹介いたします。

知らないと大切なチャンネルを失う可能性があるので、ぜひ最後までご覧ください。なお動画でも同様の内容をご紹介しています。

チャンネル登録者や再生時間は購入しても大丈夫なのか?

「YouTube で収益化するための条件がクリアできない…」「登録者数が少なくて見栄えが良くない」など、チャンネル登録者・再生時間・視聴回数を手っ取り早く増やしたいと思う方は多いです。収益化されているチャンネルを購入して、収益化された状態でチャンネル運営を始めたいと思う方もいますね。

その気持ちはよく分かります。動画を投稿しても思ったようにチャンネル登録者や再生時間は増えず、収益化も程遠く嫌になってしまいますよね。

そのような方が手を出してしまいがちなのが、チャンネル登録者や再生時間を購入するという手段です。私のところにも度々「チャンネル登録者や再生時間は購入しても大丈夫ですか?」「YouTube にバレますか?」という相談が来ます。

エンゲージメントの購入はポリシー違反

チャンネル運営を始めたばかりの人はご存じない方も多いのですが、登録者や再生時間・視聴回数などを購入することはポリシー違反です。関連するポリシーとしては「虚偽のエンゲージメントに関するポリシー」や「スパム、欺瞞行為、詐欺に関するポリシー」があります。
虚偽のエンゲージメントに関するポリシー

チャンネル登録・高評価・コメント・視聴回数・再生時間など視聴者の反応を示す指標のことを「エンゲージメント」と言います。このようなエンゲージメントは視聴者が動画を視聴し「このチャンネル好きだな、応援したい!」「これからも動画を視聴したい!」と感じて、自然に反応した結果として発生するものです。

そのため、お金を支払うなど見返りを与えたり、見返りを与えることを謳ってエンゲージメントを獲得することはポリシー上禁止されています。絶対に購入してはいけません。

そうは言っても「バレなきゃ大丈夫じゃない?」「問題なく収益化した知人がいるよ」とおっしゃる方もいますよね。この手の販売ページには「最新のアルゴリズムにより増加させるので YouTube にバレない」という内容が記載されていることも多いので、「きっと大丈夫だ」と思ってしまう方も多いようです。

ではここからは、実際にチャンネル登録者と再生時間を購入した方の事例、収益化済みチャンネルを購入した方の事例を見ていきます。

チャンネル登録者と再生時間を購入した結果…

今自分が運営しているチャンネルを早く収益化させたいがために、チャンネル登録者と再生時間を購入する方は意外に多いようです。登録者1000人と再生時間4000時間はハードルが高いですからね…。

登録者や再生時間を増やす不正な方法

もし購入した場合、販売者はどのようにチャンネル登録者や再生時間を増やすと思いますか?今回の事例以外も含めて分かったのが、次のような手段で増加させていることです。

クラウドソーシング系のサービスで募集する

日本で言えばランサーズやクラウドワークスのような、仕事を依頼したい企業と仕事を受けたい個人をマッチングするサービスで、「チャンネル登録してくれたらいくら」のような形で募集する形態です。物価が安い海外のサービスで募集をかけて集めることが多いようです。

悪意あるアプリやツール

一見問題なさそうなアプリやツールをユーザーに使用させ、そのユーザーが気付かないところで YouTube へアクセスして動画を視聴したりするものがあります。

たまに「観ていない動画が再生履歴にある」と言う方がいますが、もしかすると悪意あるアプリやツールを使用しているかもしれません。ご不安な方は Google アカウント情報のページにある[サードパーティ製のアプリとサービスへの接続]から不要なものは削除してみてください。
サードパーティによるアクセスを管理

詳細は下記でもご紹介しています。

SNS で投稿拡散/広告

Facebook や X などの SNS で「おすすめの動画」「おすすめのチャンネル」として宣伝する方法です。SNS で投稿したり、広告を出すことそのものは問題ありません。ただし「チャンネル登録してくれた人の中から抽選で何名に●●が当たる」など、金銭や物を懸賞として付けていることがあり、これは問題となります。

TV や映画、音楽の投稿

「登録者や再生時間を管理するため」という理由で管理者権限や編集者権限を要求されることがあるようです。何も分からず権限を渡してしまうと、勝手に有名なテレビや映画、音楽動画などをアップロードされてしまう可能性があります。

要は、有名なテレビや映画をアップロードすることで視聴者を集め、再生時間や登録者を増やそうとしているわけです。権利者に許可を得ておらず、権利的に問題のない映像なわけがないので、著作権侵害の違反警告に発展する可能性があります。

実は、今回の事例として取り上げたいチャンネルは、海外のテレビドラマが勝手にアップロードされたようです。画質が悪く、ドラマの映像は画面内の4分の1程度の大きさに加工されていたとのことで、YouTube 側に検知されないようにしていたのかもしれません。

確かに視聴回数やチャンネル登録者も増えたみたいですが、著作権侵害の違反警告を受けてしまいました。その時に YouTube から来たメールのスクショをいただきました。
著作権侵害の違反警告

勝手に投稿されていたのは動画一本だけだったので、1つの違反警告で済んでいますが、もし複数投稿され3回警告を受けたらチャンネル停止になっていたかもしれません。恐ろしいですよね。

その後、勝手にアップロードしないようにチャンネルの権限は削除したものの、他の方法によるのか登録者などは増えていったとのことです。

突然のチャンネル削除(停止)

ところが、1週間ほど経過して突然「チャンネルが YouTube から削除されました」というメールが YouTube から来て BAN されました。事前の警告なく、即チャンネル停止です。
突然のチャンネル削除(停止)

「動画内容に問題があったのでは?」と思う方もいるかもしれませんね。投稿していた動画は10本程度だったので、すべての動画を YouTube 外で共有してもらい確認しましたが、内容は全く問題ありませんでした。

この段階では AI による誤判断で停止されたとも考えられるので、再審査請求を送信しました。再審査請求では人によるチェックが入るので、誤って停止してしまったのであれば復活されます。しかし、結果は覆りませんでした。
再審査請求の結果

チャンネル停止の具体的な原因は YouTube 側にしか分からないので、チャンネル登録者と再生時間を意図的に増加させたことが原因だと断言はできません。

ただ、警告なしの即チャンネル停止になるのは、重大なポリシー違反をしている場合です。例えば、チャンネル全体で問題のある動画を投稿していたり、児童ポルノのような明らかに法律的にも問題があるようなこと等があります。そうでなければ、動画単位で削除され違反警告が付くだけです。

正直なところ、チャンネル登録者や再生時間を購入しても、収益化の審査に通らないくらいだと思っていました。チャンネル停止になるのはかなり厳しい判断ですね。

収益化済みチャンネルを購入した結果…

次は、既に収益化ができているチャンネルを購入した方の事例です。

最近は日本でもチャンネルの M&A が盛んに行われてきています。M&A というのは合併や買収のことを言いますが、要はチャンネルの売買です。収益化済みチャンネルも多く取引されているので、それを購入して運営を始めた方が手っ取り早いと思う方もいますね。

今回、収益化済みチャンネルを購入することがダメだと言いたいわけではありません。問題なのは、どのようなチャンネルを購入するのかです。

売りに出されているチャンネルには、真面目に運営された良いチャンネルもありますが、中には先程ご紹介したような不正な手段でチャンネル登録者や再生時間を増やしたものも存在します。

特に海外の、BGM などの音楽系、ゲーム実況系として販売されているチャンネルで怪しいものをよく見かけます。動画投稿数・視聴回数・チャンネル登録者数のバランスが明らかにおかしいので分かると思います。またチャンネルの乗っ取りにより取得したチャンネルが販売されている可能性もあります。このようなチャンネルは購入時点で収益化されていても、後々収益化が停止するリスクがあります。

今回の事例では、購入してしばらくは問題がなかったようです。しかし、こちらも突然チャンネルが削除されてしまい、事前の警告などはありませんでした

購入時のチャンネルの内容は、ゲームのマインクラフトで建築している様子が投稿されている状態だったとのことです。収益化できているから問題ないチャンネルとは限らないですね。

エンゲージメント購入の様々なリスク

エンゲージメントなどの購入は、様々なリスクがあります。

収益化できても視聴されない

仮に、不正な方法でチャンネル登録者数や再生時間の収益化条件をクリアし、収益化できたとします。しかし、ここで考えていただきたいのは、購入した登録者はあなたのチャンネルや動画内容に興味を持ったアクティブな視聴者ではないということです。多くは、お金目的で登録したり、ツールで自動的に再生されているだけです。

つまり、収益化できたとしても、実際にあなたの動画を継続的に視聴してくれたり、メンバーシップに登録してくれるような本物のファンはいない状態です。結果として、収益はほとんど発生せず、収益化の意味をなさないという状況に陥ります。見た目の数字が増えただけで、チャンネル運営の本質である「視聴者に価値あるコンテンツを届ける」ことからはかけ離れてしまいます。

将来停止されるリスク

事例でもご紹介したように、チャンネルが突然停止されるリスクは常に存在します。不正行為が YouTube のシステムに検知されれば、たとえ収益化できていても、チャンネル停止や収益化剥奪といった厳しい措置が取られる可能性があります。

しかも、その検知のタイミングがいつか分かりません。不正を行った直後にバレることもあれば、数ヶ月、数年経ってから過去の不正が発覚し、チャンネルが停止されるというケースも考えられます。つまり、不正な方法で増やしたチャンネルは、いつ爆弾が爆発するか分からない、常に不安定な状態だと言えます。時間をかけて動画を投稿し、育ててきた大切なチャンネルが一瞬で失われる可能性があるのです。

どんな方法でもバレない保証はない

チャンネル登録者や再生時間の販売業者は、「不正だと検知されない」といった甘い言葉で誘ってきます。もし仮に、今は検知されない方法であっても、将来的に YouTube の検知の精度が向上すれば、過去に行った不正行為も検知できるようになる可能性は十分にあります。

完全に YouTube の監視の目をかいくぐり続ける方法は存在しないと思った方が良いでしょう。販売者はあなたからお金を得るのが目的であり、あなたのチャンネルがどうなろうと責任は取ってくれません。安易に「バレない」という言葉を信じるのは非常に危険です。

YouTubeに報告する人がいるかも

不正行為が YouTube にバレる経路は、システムの検知だけではありません。考えられます。例えば、あなたのチャンネルの登録者数や再生時間の不自然な増加に気づいた他のクリエイターや視聴者が、不正を疑って YouTube に通報するなどです。

特に、チャンネル規模が大きくなったり、収益化されることで注目度が増すと、こうした第三者の目に触れる機会も増えます。通報をきっかけに YouTube が調査に入り、不正が発覚するという可能性もゼロではありません。

チャンネル運営で最も大切なこと

ここまで見てきたように、エンゲージメントの購入には、収益化できても意味がない、将来的にチャンネルを失うリスクが高い、バレない保証はない、第三者から通報される可能性がある、といった様々な危険が伴います。

YouTube でチャンネルを成長させ、収益を得るまでの道のりは本当に大変ですよね。その気持ちはよく分かります。

しかし、視聴者が本当に見たいと思う、価値のあるコンテンツをコツコツと作り続け、正当な方法でファンを増やしていくことが最も確実で安全な道です。時間はかかるかもしれませんが、それがあなたのチャンネルを長期的に成功させる唯一の方法です。

チャンネルの運営は大変なことも多いですが、一緒に乗り越えて頑張っていきましょう!

執筆者情報
2004年から当サイト「iscle」を始めた管理者。Google 公認のプロダクトエキスパートとして、YouTube、Google AdSense、Play の公式コミュニティで活動中。スマホアプリ、Web ツールの使い方や最新情報を中心に発信しています。