YouTube「連鎖BAN」と【新】チャンネル復活のパイロットプログラム

今、あるポリシーがものすごく厳しいと言われているのをご存知でしょうか?これを知らないと、所有しているチャンネルが次々と停止される可能性があります。実は私も経験しました。
もし、自分の YouTube チャンネルが、ある日突然、何の前触れもなく停止されてしまったらどうしますか?
「悲しいけど、新しい Google アカウントで別チャンネルを作ってやり直せばいいや」
もしかしたら、そう考えている方もいらっしゃるかもしれません。ですが、その考えがいかに危険なものか、クリエイターとしての未来が完全に詰んでしまう可能性があるという重要なお話をします。
これは大げさな話ではありません。実際に今、いわゆる「連鎖 BAN」という問題に直面しているクリエイターが多くいます。そして YouTube のあるポリシーが、今までにないレベルで厳しくなる可能性について、私の実体験も交えながら解説していきます。
また YouTube が公表した、チャンネルが停止したクリエイターに再チャンスが与えられるパイロットプログラムについてもご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
1. 「チャンネル停止」その本当の意味
まず、大前提となる YouTube のルールを一緒に確認しておきましょう。チャンネルが停止されると、YouTube からメールが届き、その中にはこのような記載があります。
このことを知らない方も多いと思いますが、ご存知でしたか?
これはつまり、「あなたというクリエイターが、今後 YouTube というプラットフォームでチャンネルを運営すること」を永久に禁止するというものです。例えば、サッカーでレッドカードを突きつけられ、即退場、そして今後の試合への出場停止を言い渡されるような、非常に重い処分です。
「なぜここまで厳しい処分が下されるのだろうか」と思いますよね。それは、YouTube がプラットフォームの健全性を保ち、多くの視聴者を保護する責任を負っているためではないでしょうか。悪質なクリエイターが簡単に活動を再開できてしまえば、プラットフォームの安全は守れません。このルールは、そうした行為からユーザーを守るための重要な措置だと考えられます。
アカウントを変えればバレない?
「でも、別の Google アカウントを使えばバレないでしょ?」
「AdSense アカウントを変えれば大丈夫じゃない?」
このように思う方も多いですね。確かに、これまでは、そういった「抜け道」のようなものが通用していた側面もあったかもしれません。実際に、過去にチャンネルを停止されたクリエイターが、今も別のチャンネルで活動を続けているケースを見かけることもあります。
しかし YouTube は、私たちが想像している以上に、どのチャンネルとどのクリエイターが関連しているかを正確に把握する技術を持っているようです。
具体的にどのような仕組みでクリエイターを特定するかは公開されていませんが、たとえ別アカウントを使っても、IP アドレスや使用デバイス、活動パターンなどから、あなた本人であることを見抜いてしまう可能性があります。そして、過去に停止されたクリエイターだと判断されれば、新しいチャンネルも停止されてしまう可能性があるわけです。
このポリシー自体は、昔から存在していました。ただ正直なところ、これまでは、何度も規約違反を繰り返すような、ごく一部の悪質なクリエイターにのみ適用される「伝家の宝刀」のようなものだと、私も含め多くの人が認識していたと思います。
例えば、テレビでも取り上げられるような「迷惑系 YouTuber」のような悪質なクリエイターや、何度もチャンネルを作成しては停止されるクリエイター、違反の深刻度合いが高いクリエイターに対しての最終手段として適用されていたイメージです。
ところが最近は、そこまで問題となっていないようなクリエイターも対象になってきていると感じます。
2.「技術的保護手段の回避」による一斉停止
では、なぜ今、この話をこれほどまでに強く警告するのかというと、最近「技術的保護手段の回避に関するポリシー」の違反で、数多くのチャンネルが次々と停止されているからです。
実は私も、つい最近このポリシー違反を理由に、所有していた4つのチャンネルが次々に停止される、いわゆる「連鎖 BAN」を経験しました。 Gmail を開くとこのメールが届いていました。
本当にドキッとしますね。
この「技術的保護手段の回避に関するポリシー」というのが、ヘルプページ「チャンネルまたはアカウントの停止」に記載されている「チャンネル停止に対する回避行為」に該当する部分です。内容は、チャンネルが停止した時に記載されていたものと同じです。
また、ヘルプページ「その他のポリシー」には次のように記載されています。
YouTube の利用規約への違反により過去に削除されたコンテンツ、現在制限を受けているチャンネルのクリエイターが作成したコンテンツ、または停止処分を受けたクリエイターが作成したコンテンツを投稿することは、同利用規約に基づいて技術的保護手段の回避とみなされます。
このようなコンテンツを投稿すると、動画が削除されたり、YouTube チャンネルが処分の対象となったり、停止されたりする場合があります。また、所有する別のチャンネルにも同様の処分が下される場合があります。
幸い、私の場合は YouTube 側の誤り、つまり誤 BAN だったようで、再審査請求をしたらすぐに全てのチャンネルが復活しました。過去にチャンネル停止されたことはないですが、復活しなかったらどうしようと思いました…。
SNS を見ていても、「昨日まで普通に見れていたチャンネルが突然消えた」「自分もこの違反で BAN された」という叫びが多く投稿されています。
しかし、このような経験から、2つの重要な事実があると考えられます。
「技術的保護手段の回避に関するポリシー」違反の取り締まり強化?
1つ目は、YouTube はいま、このポリシーに対して、かつてないほど敏感になっている可能性です。
「でも、それは特定の怪しいジャンルの話でしょ?」と思うかもしれません。しかし、私が誤 BAN された4つのチャンネルは、それぞれジャンルもテーマも全く異なっていました。 掃除系チャンネル、BGM系チャンネル、ポッドキャストチャンネルなど、関連性もガイドラインに違反する内容は一切ありません。管理するアカウントも分けていました。運営期間も、数年かけて育ててきたものから、最近作成したものまで様々です。
つまり、コンテンツのジャンルやテーマは全く関係ありません。
そして、この停止措置はチャンネルが収益化しているかどうかも一切関係ありません。 たとえあなたが何年もかけて、たくさんの思い出と共に大切に育ててきたチャンネルであっても、過去に一度でも停止処分を受けたという事実があるのなら、停止される可能性は十分にあることです。
誤 BAN が多く発生 → 復活可能
2つ目の事実として、AI による自動判定の網が広げられすぎて、健全なチャンネルですら巻き込まれる危険性が急増していることです。つまり、誤 BAN も多く発生している可能性があります。過去にチャンネルを停止されたことがないクリエイターであれば、再審査請求を出せば復活します。
- 停止のメール内に「再審査請求はこちらからお送りいただけます。」という部分がありますので、「こちら」をクリックします。
- 「YouTube から削除されました」という画面が表示されます。[確認を開始]ボタンを選択します。
- 「問題を確認してください」という画面で[次へ]を選択します。
- 次に[再審査請求を開始]ボタンを選択してください。
- 理由を記載する箇所がありますので、過去にチャンネルが停止されたことがないこと、チャンネルはポリシーやガイドラインを遵守していることを入力して送信しましょう。
3. 連鎖 BAN の本当の恐怖
もし、あなたがたった1本の動画でポリシーに違反しチャンネルが停止されてしまうと、そのチャンネル以外の健全なチャンネルですら停止される可能性があります。
つまり、「過去に停止されたクリエイエイター」というレッテルを貼られてしまうと、その後、健全な運営を心がけても過去の記録が新しい挑戦をことごとく摘み取っていくわけです。 これが、連鎖 BAN の最も恐ろしい実態です。
「それは、あまりに厳しすぎるよ」
そう思いますよね。実はここで朗報があります。YouTube は、チャンネルを作成できなくなってしまったクリエイターが新しいチャンネルを作成するための復帰手段について、一部のクリエイター対象としたパイロットプログラムを開始しました。
4. アカウントを停止されたクリエイター向けパイロットプログラム
YouTube は公式コミュニティページへこのように公表しました。
つまり、過去にチャンネルが停止されたクリエイターに、もう一度 YouTube で活動するチャンスを提供するものです。ただし、すべての停止されたクリエイターが対象になるわけではありません。
対象となるクリエイター
- チャンネルが停止されてから1年以上経過しているクリエイター
- ただし、著作権侵害や、クリエイターの責任に関するポリシー違反など、一部の理由で停止された場合は対象外
少なくとも停止されてから1年以上は復活のチャンスはありませんし、違反内容によっては対象外となってしまうので、すべてのクリエイターに復活のチャンスが与えられるわけではありません。
復活のリクエストを行う方法
対象となるクリエイターには、デスクトップ版の YouTube Studio にログインすると、「新しいチャンネルをリクエスト」というオプションが表示されます。
リクエスト送信後、以前のチャンネル停止の深刻度合いなど様々なことが審査されます。もし承認されれば、新しいチャンネルを作成し、ゼロから活動を再開できます。過去の動画も、現在のガイドラインに準拠していれば再アップロード可能です。新しいチャンネルで条件を満たせば、収益化(YouTubeパートナープログラム)に再度申請することもできます。
2つの注意点
リクエストのオプションが表示されるのは、以前に停止されたチャンネルで YouTube Studio にログインした場合です。その YouTube チャンネルや Google アカウントを削除したクリエイターは、現時点でオプションは表示されません。このことから、仮にチャンネルが停止されても、自らチャンネルやアカウントを削除するべきではありませんね。
また、このプログラムは一度きりのチャンスです。もし新しく作成したチャンネルが再び停止された場合、YouTube に復帰するチャンスはなくなります。
5. 絶対にやってはいけない、たった一つのこと
今回お伝えしたいことは、本当に、たった一つです。
「チャンネルが停止される可能性のある動画は、たった1本でも、絶対に投稿すべきではない」ということです。
「これくらいなら大丈夫だろう」「みんなやっているから」「復活のチャンスがあるから」
その軽い気持ち、その一本の動画が、あなたの YouTube クリエイターとしての未来、そして動画制作に費やしてきた情熱や時間のすべてを、一瞬で奪い去ってしまう可能性があることです。
どうか、「BAN されてもやり直せる」という甘い考えは、完全に捨ててください。グレーゾーンは狙わないでください。(そもそもグレーゾーンはボーダーライン上のコンテンツとして、インプレッションが制限される可能性があります。いわゆるシャドウバンと呼ばれているものですね。これについてはこちらをご覧ください。)
ご自身のチャンネルにある過去の動画も含めて、少しでも抵触する可能性がないか、今一度、厳しく、厳しく見直してみてください。すべてを失ってからでは、本当に手遅れです。