YouTube動画を丸パクリされた!著作権侵害を申し立てて削除させてみた

YouTube 動画を丸パクリされたので、著作権侵害を申し立てて削除させてみた
(YouTube, AdSense, Play 公認エキスパート)
2025年10月01日 in YouTube

私の動画が丸パクリされました!

もし皆さんが時間と労力をかけて作った動画を、誰かに丸ごとコピーされたらどうしますか?

実は先日、私が過去に投稿した動画の台本やスライドが、ほぼそのまま盗用されている動画を発見しました。しかも、YouTube の攻略情報を発信しているチャンネルです。あまりに内容が同じだったので、正直、ショックや怒りを通り越して呆れてしまいました。

そこで今回は、私が実際にその「丸パクリ動画」に対して、YouTube に著作権侵害の申し立てを行い、動画を削除してもらうまでの流れを、皆さんに共有いたします。今回の内容をご覧いただければ、万が一ご自身のコンテンツが盗用された場合に、具体的にどうやって対処すればいいのか参考にしていただけると思います。

など、動画ではより分かりやすくご紹介しておりますので、よろしければご覧ください。

どのように動画をパクられたのか

まず、何が起きたのかを具体的にお見せします。このスクリーンショットをご覧ください。左側が私の動画で、右側が相手の動画です。
 YouTube で動画内容をパクられた

ご覧いただくと分かる通り、スライド内のテキストが完全にコピーされています。また話している内容も、私が話している内容を文字起こしして、そのまま読み上げているだけのようでした。

このようなパクリ方をしたら、誤魔化すことも、言い逃れもできないのに、訴えられたいのでしょうか。疑問すぎます…。

しかも、私の動画をパクっていることを、相手の動画のコメントで投稿していただいた方がいたのですが、それに対して「いいね」を付けていました。自ら動画を削除することもなく、平気な顔をしているのは、悪質と言わざるを得ません。
パクリ動画への反応

なので、著作権侵害の削除通知(申し立て)を行うことにしました。

著作権侵害の申し立て手順

それでは、ここからが本題です。
実際に私が行った「著作権侵害の申し立て」の手順を、画面を見ながら一つずつ解説していきます。

ステップ1:証拠の収集

まずは証拠を集めます。私が用意したのは以下の4つです。

  1. 盗用動画の URL
  2. 自分の元の動画の URL
  3. どの部分が盗用されているかが分かる比較画像(スクリーンショット)
  4. 両動画の文字起こし:
    Google の AI ツールである「NotebookLM」が無料で簡単です!NotebookLM にアクセスしていただき、[ノートブックを新規作成]から[ YouTube ]を選択して動画の URL を入れます。あとは「文字起こしをして」と入力して送信するだけです。

念のため、相手の動画が消される場合に備えて、画面録画もしておくと、より確実です。

ただし、内容が似ているというだけでは著作権の侵害に該当しない可能性もあります。著作権はアイデアや企画そのものではなく、あくまで具体的な「表現」を保護するものです。例えば、同じテーマや企画で動画を作ること自体は問題ありません。

例えば「収益化不可ジャンル10選」という企画に著作権は存在しません。ただ今回は、台本のような具体的な表現がそのまま盗用されたため、著作権の侵害として申し立てを行います。

私は法律の専門家ではありませんので、詳細は弁護士等の専門家へご相談ください。

ステップ2:申し立てフォームへのアクセス

証拠が準備できたら、申し立てを行っていきます。申し立てフォームへアクセスする手順は2つあります。

1つ目:動画ページから進む場合

  1. 盗用している動画ページにある[…]から[報告]を選択します。
    動画ページから報告
  2. [法的問題]を選択してください。
  3. [著作権の問題]を選択します。著作権以外の法的問題もここから選択して進めることができます。
  4. 「著作権侵害による削除通知を提出する」というページが表示されるので、[著作権侵害による削除通知を提出する]ボタンを選択してください。
    著作権侵害による削除通知を提出する
  5. 削除リクエストの画面が表示されます。

2つ目: YouTube Studio から進む場合

  1. YouTube Studio を開きます。
  2. 左側のメニューから[著作権]をクリックします。
  3. [削除リクエスト]タブを開いてから、画面右上にある[新しい削除リクエスト]ボタンをクリックします。
    新しい削除リクエスト
  4. 削除リクエストの画面が表示されます。

ステップ3:動画の削除リクエストのフォーム入力

ここが一番重要な部分です。項目が多くて少し難しく感じるかもしれませんが、ひとつずつ一緒に確認していきましょう。

「削除をリクエストする動画」のセクション

  1. [動画を追加]ボタンを選択します。
  2. [自分のコンテンツ]と[著作権侵害にあたる動画]の情報を入力していきます。
    削除をリクエストする動画
  3. 入力ができたら[リストに追加]を選択します。

「著作権所有者」のセクション

ここに、自分の情報を入力します。これらの項目を入力していくのに抵抗があり、削除リクエストまでしない方が多いのではないでしょうか?

でも大丈夫です。『どこまでの情報が相手に伝わるのか』も含めてご紹介していきますのでご安心ください。
著作権所有者

  • [著作権者名]
    この項目は相手に通知され、動画が削除された場合に、その動画削除ページにも表示されます。でも、入力例として「YouTube チャンネル名」と記載されているため、現時点では本名である必要がないようです。
  • [電話番号]
    訴訟の過程で要求された場合を除き、YouTube 以外の第三者には共有されません。つまり、相手にバレることはありません。日本の場合は「+81」から入力します。
    とは言え、普段使用する電話番号を使いたくないと思われる方は多いですね。そのような場合は「050」から始まる IP 電話の番号を、問題解決まで取得するのが良いかと思います。「050 取得」などで検索すると、050 番号を提供してくれるサービスがいくつか表示されます。
  • [メインのメールアドレス]
    YouTube Studio で登録しているメールアドレスが表示され、相手に通知されます。また、変更ができないようになっています。
  • [著作権で保護されたコンテンツとの関係]
    コンテンツに関連する仕事上の役職名などを記入します。「制作者」などでも問題ないようです。
  • [国や住所]
    電話番号と同様に、YouTube 以外に共有されません。正確に記入してください。

「削除オプション」のセクション

削除オプションは2種類あります。
削除オプション

  • スケジュールを設定: 7 日前の猶予通知を送信する
    相手に7日間の猶予を与え、その間に動画を自主的に削除すれば、チャンネルへのペナルティは回避されるという、少し穏便な方法です。
  • 標準(今すぐ削除をリクエストする)
    即時削除をリクエストする方法です。リクエストが通れば動画が削除され、著作権の違反警告を与えることができます。

今回は明らかに意図的な丸パクリだったので、私は「標準:今すぐ削除をリクエスト」を選択しました。

「法的合意事項」のセクション

最後に、表示されている内容をよく読み、全ての項目にチェックを入れます。 これは「虚偽の申し立てはしません」という宣誓です。 そして、「署名」の欄に本名をフルネームで入力します。政府機関発行の身分証明書に記載されている氏名です。
削除オプション

全ての入力が終わったら、内容を再度確認し、右上の[送信]ボタンをクリックします。送信すると「YouTube の著作権に関する申し立て」の件名で、送信内容に関するメールが届きます。

動画の削除リクエストの結果…

申し立てを送信してから、およそ17時間後。 YouTube から「リクエストが解決しました」「コンテンツは削除されました」という内容のメールが届きました。

不正な申し立てがないかも含めて確認するためか、送信して自動的に削除されるわけではないようです。メール内にも「YouTube は、自動システムと人間による審査を組み合わせて削除リクエストを処理しています。」と記載されていました。

内容によって、処理される時間も大きく変わりそうですね。

盗用していた動画ページを確認すると「動画を再生できません」「この動画は、イズクルから著作権の申し立てがあったため削除されました」と表示されています。※この「イズクル」の部分が、申し立てフォームの[著作権者名]で記入した内容が表示されます。
この動画は、イズクルから著作権の申し立てがあったため削除されました

YouTube Studio でも削除されたことが記載されています。

もし相手が広告収益を得ていた場合、削除された動画からの収益は広告主に返還されるようです。

TTP(徹底的にパクる)はコピーではない

ビジネスや YouTube 攻略では「TTP(徹底的にパクる)」という言葉が推奨されることがありますが、それは今回のような「内容のコピー」を意味するものではありません。

成功しているコンテンツの優れた要素、例えば構成で優れているところや視聴者を引き込む工夫などを分析し、そこに自分自身の知識や経験、オリジナリティを加えて全く新しい価値を生み出すことが本来の意味での TTP です。内容をそのまま盗むことは、ただの盗用であり、創造性とは無縁の行為です。

そして、これは丸パクリに限った話ではありません。他人の著作物、例えば動画や音楽、書籍、文章の一部だったとしても、許可なく使用することは著作権侵害になる可能性があります。

YouTube の違反警告やチャンネルが停止になるリスクだけでなく、最悪の場合、裁判沙汰になることもあり得るので、本当に注意が必要です。

皆さんが加害者になってしまうことがないよう注意していただきたいのと、同じように被害に遭ったら、自分の作品を守るための仕組みがあることも認識してほしいと思います。

執筆者情報
2004年から当サイト「iscle」を始めた管理者。Google 公認のプロダクトエキスパートとして、YouTube、Google AdSense、Play の公式コミュニティで活動中。スマホアプリ、Web ツールの使い方や最新情報を中心に発信しています。